----1stフルアルバム『SEASON』が完成した今。まずは、率直な気持ちを教えてもらえますか?
鯉渕正寛(Gt & Syn) 嬉しいというのが率直な気持ちですね。あと、この『SEASON』というアルバムを創り上げて、“STELEOGRAMとは、こういうバンドだ!”というのを、全国流通という形で、やっと発信出来ることになって、心から良かったなと思っています。
----バンドを結成してからどのくらい経つんですか?
石川裕久(Dr) 結成してからは4-5年くらいかな…。
鯉渕 うん。でも最初の頃は、真剣にやっていなかったというか。水戸の音楽シーンって、当時からギターロックが流行っていまして。最初の頃は、ギターロックが流行ってるからやってみようみたいな軽い感じでバンドをやっていました(笑)。でも、ギターロックやってても面白くないってことに気づきはじめて。ならば、自分たちの好きな音楽をやらなきゃ意味がないよなって。 “好きな曲を、好きな音楽をやろう”、 “自分達が聴きたい曲を、自分達で創ろう”ということをコンセプトにして。 それから本格的にSTELEOGRAMの活動をはじめた感じですね。だから、バンド活動は4-5年やっているんですけど、ちゃんと自分たちの好きな音楽活動をやり始めてからは、2年くらいしか経っていないんですよ。その間に自主制作でミニアルバムを3枚リリースして。今回のフルアルバム発売まで辿り着いたという。
----1stフルアルバム『SEASON』 を創り上げるまでに至った経緯を教えてもらえませんか?
石川 まずは、3枚のミニアルバムでリリースした曲の中で、“どれをアルバムに入れようか?”ということ。それに対して、かなり悩みましたね。
鯉渕 苦労したよね。でも、ライブで演っている曲を中心に収録するのが今の自分達を伝える1番重要なことかなって思っていたので。そう考えはじめてからはスムーズに行ったというか。とはいえ、既存曲と新曲の音を寄せる作業や、上手く融合させる作業は、難しかったですね。『SEASON』というアルバムの世界観を統一するのも難しかったです。3枚のミニアルバムをリリースして来ましたが、それぞれ込めた想いや世界観が違っていたりするので。メンバー4人で、かなり時間をかけて話し合いましたね。
石川 メンバーが良いか悪いか判断するというか。意見するという感じなんです。歌詞にしろ、曲にしろ、全て4人のフィルターを通した上で、音楽を創っているので。
鯉渕 普通のバンドって、リーダーがいて、その人がこうしようああしようと言うと思うんですけど、僕らは違う。メンバー4人が好きなものを届けようというコンセプトでやっているので。それがSTELEOGRAMとしてのあるべき形になっているのかなって思いますね。
---アルバムタイトルになっている、この『SEASON』という名前にはどのような意味が込められているんでしょうか?
鯉渕 季節が移り変わるように、 自分達の色んな側面が見える、様々な曲が入っているという意味で『SEASON』という名前をつけました。あとは、初めてのフルアルバムとして、“旬なアルバムになっている”という思いも込めて、『SEASON』というタイトルにしたんです。
----しかし、まあ、この『SEASON』というアルバム。新人バンドの1stフルアルバムとは思えないほどのかなり内容の濃い、コンセプチュアルな内容になっていて、吃驚したんですよ。
鯉渕 結果的にこうなってしまったんですよね(笑)。音楽好きが高じて(笑)。
----(笑)。ほんと凄いですよ。まず、M1の「introduction」から始まって、M5の「echo」まで、ノリのよい、アッパーチューンが続いていて。M6、M7で一旦アルバムの音世界が様変わりして行きますよね。そしてM8の「Chill」以降、最後のM13「SEASON」に至るまで、叙情性の強い、ミドルテンポの楽曲が続いて行くと。そんな中でも、中後半の楽曲群のバラエティ豊かな、感受性豊かな音の流れがとても秀逸で。これこそがSTELEOGRAMの真骨頂なのかなって思ったのですが。
鯉渕 そう感じ取ってもらえるように創った部分はありますね。僕ら自身も、音楽が大好きなリスナーでもあるわけで。例えばCD屋とかで試聴する時に、最初の1-2曲で心を持って行かれたりしますからね。そこでまず自分達のポップさというものを知ってもらって、気に入ってもらうきっかけを掴んでもらって。そして、アルバム中盤から後半にかけて聴いてもらった後に、“このバンドって、こういう音楽も演ってるんだ!”って。そういう風に気づいてもらえるように意識して創りました。あとは、今までのミニアルバムもそうだったんですけど。最後に向かえば向かうほど、未来のSTELEOGRAMの作品に繋がっていくような流れを大切にしているんです。この『SEASON』もそうなんですが。
----最後に収録されている、アルバムのタイトルトラックとなっている、M13「SEASON」というインストがそれを象徴しているのかな?
鯉渕 はい。僕らって、ライブでもそういうようなことを考えて演っているんですよ。ライブを通して観た後に、多幸感じゃないですけれど、なんかほっとするような感覚になってもらいたくて。がーっと勢いだけで進んで行って、“楽しかった! 終わり!”っていうのじゃなくて。“あー、いい音楽だったなぁ”っていう風に感じてもらえるように意識しているので。ライブも作品も、音楽の終わり方に焦点を当てていて。それを大切にしているんです。今までの作品も、今回の作品もそうなんです。なので、M13の「SEASON」のインストでしっぽり終わらないように。明るく終わるようにしたんです。
ライブも作品も、音楽の終わり方に焦点を当てていて。
それを大切にしているんです。
1st フルアルバム
「SEASON」
2014.02.05 release
¥1500
1. introduction
2. Amber
3. Pluto
4. escape
5. echo
6. Seethe & Grimes - XXX
7. Seethe & Grimes
8. Chill
9. Liverpool
10. exterior
11. City Lights Girl
12. Sink In The Ocean
13. SEASON
STELEOGRAM
(ステレオグラム)
小林光大:Vocal & Guitar & Synthesizer.
小関 遼:Bass & Synthesizer.
石川裕久:Drums.
鯉渕正寛:Guitar & Synthesizer.
なんの迷いもなく、ただひたすらに音楽を創り続けるスタンス。そこにあるのは、心から音楽を愛しているからこそだという強い意志。結成以来、自主制作で3 枚のミニアルバムを立て続けにリリース。その後、水戸という地を中心にライブをこなしつつ、早くも1st フルアルバム『SEASON』を完成させた、STELEOGRAM。
音楽を聴く好奇心を真摯に捉え、その感情を自らのバンドサウンドで構築し、鳴らすことの歓びを詰め込んだこの『SEASON』。身体踊らされるハイパーチューンもあり、心揺り動かされるメランコリックなナンバーもあり。聴き手の自由度を奪わない、裏切らない、多種多様な顔を垣間見せるアルバムとなっている。これは、新人バントの1st としては破格的だ。想像以上の濃密な才気が迸っている。このコンセプチュアルとも言えるほどの壮大な作品を創り上げたSTELEOGRAMのメンバー2人に、今の心境と、未来への野望を尋ねてみた。
インタビュー&テキスト:保坂壮彦(ALL IS LOVE IS ALL)